プライベート・アセット投資のこれから
エリック・デラム、CEO
フレックスストーン・パートナーズ
プライベート・エクイティ投資をけん引するマクロ経済のトレンドは何ですか?
マクロ経済に関連するものとしては、常に金利が主要なドライバーであることには変わりありません。
金利が大きく上昇した過去2年にわたり、プライベート・エクイティ投資活動が大きく落ち込みました。現在、引き続き金利はもう少し低下すると予想していますが、過去数年間に比べると高い金利水準にとどまるでしょう。それに伴い、プライベート・アセットまたはプライベート・エクイティ全般に対して、次のような影響を見込んでいます。
一つは、投資活動の活性化をみています。前四半期からの取引の流れとともに、一般的なM&A活動からこれを感じています。ふたつ目は、やや直感に反するものですが、パフォーマンスに関するものです。金利の上昇は、バリューチェーン全体に規律を課すため、実際にはプライベート・エクイティのパフォーマンスを向上させます。プライベート・エクイティの投資活動とそのリターンはマクロ経済環境やイベントに応じて上下するものです。フレックスストーンは、どのような状況下でも一貫して投資し続けることが重要だと考えており、これまでもこれからも変わらずに推奨していることでもあります。
プライベート・エクイティの投資活動は、2021年ごろにピークに。それ以降下降傾向なのでしょうか?
プライベート・エクイティの投資活動が過去数年でピークに達したとは思っていません。確かに、2021年には最高値を記録しましたが、これは2019年、2020年の新型コロナウィルスの遅れを取り戻しただけだと考えています今後プライベート・エクイティ市場は、近い将来にわたり2桁の成長を続けていくと予想しています。
多くの理由をあげることができますが、主なものは、私の好きなフレーズである「この世界はプライベートである」に集約されると思います。80%以上の企業が非上場(プライベート)であり、資金調達するためにはプライベート・エクイティが必要です。また同時に、個人富裕層の投資家からのプライベート・アセットへの関心が大幅に高まっています。
また一般的に、プライベート・エクイティは世界中の上場株式市場の時価総額の10%も占めていません。これらのことから、プライベート・エクイティに関連する様々な数字がピークに達したとは私たちは考えていません。
今後のプライベート・エクイティの投資機会は何ですか?
フレックスストーンでは、プライベート・エクイティのポートフォリオのリターンに関して、起こりうるすべてのことに対する最善の防御は分散であるとの考えを強く持っています。そのため、どのような運用プログラムにおいても、可能な限り分散しています。とは言うものの、短期的にも中期的にも、明らかに欧州よりも米国およびアジアに投資機会があると考えています。投資するファンドの種類に関しては、エバーグリーン型のセミ・リキッドのファンドが大幅に成長すると見込んでいます。共同投資及びセカンダリー投資も非常に興味深いと考えています。セクターに関しては、環境や地理的要素に関係なく、厳しい規制のあるセクターは継続して避けています。
最後に、ご存知の通り、フレックスストーンでは中堅・中小規模の市場が優れたアルファを提供する可能性の最も高いプライベート・エクイティのサブセクターであると信じており、この市場に注力しています。
個人投資家は今後、プライベート・エクイティの成長に一役買うと思いますか?
私たちはこのアセット・クラスに対する個人富裕層をはじめとする個人投資家からの関心が非常に高まっていると確信しています。
すべての資産運用会社がエバーグリーン型のセミ・リキッドのファンドを組成しており、フレックスストーンのような運用会社にとっても、投資家にとっても、今後のプライベート・エクイティの発展における非常に刺激的で興味深い展開だと考えています。