エバーグリーン・ファンドとは?プライベート市場におけるそのメリットは?
エバーグリーン・ファンドは、通常オープンエンド型*のファンドで、決まったタイミング(通常は月次または四半期)の純資産価額に基づき設定や解約が可能です。キャピタルコールの期間、資本が投資される期間、投資が回収され分配される3つの期間から構成される、クローズドエンド型ファンド**とは異なります。
エバーグリーン・ファンドの主なメリットは、その柔軟性であり、投資家は投資と解約のタイミングを自由に決定できます。また、お客様の投資が運用開始日からすぐに反映されるといったシンプルさもメリットです。パフォーマンスが時間経過とともに純資産価値に反映されるため、運用実績が分かりやすい点も特徴です。
エバーグリーン・ファンド運用の難しさは?
エバーグリーン・ファンドの運用における最大の課題は流動性です。クローズドエンド型ファンドでは、ポートフォリオ構築は最適な資産の選定と投資することにのみ専念できます。一方でエバーグリーン型ファンドでは、ファンドと投資先資産の流動性の関係を考慮する必要があり、投資する時期の分散(ビンテージ分散)が不可欠となります。クローズドエンド型とは異なり、投資先資産のデュレーションを考慮する必要があるのが、ファンド・マネージャーにとって大きな課題となります。
エバーグリーン・ファンドの規制がもたらしたもの
過去10年間でも最も重要な規制変更はELTIF 2.0です。この規制変更によって、欧州全域で個人投資家向けのエバーグリーン・ファンドの設立と、投資家それぞれのニーズに合ったスタイルでの投資が可能になりました。
エバーグリーン・ファンドはプライベート・アセットの風景を変える
エバーグリーン・ファンドはプライベート・アセット・マネージャーにとって革新的です。ESGと同様に、投資先の選択と運用の方法に変革をもたらします。これまでは、ビンテージの多様化や流動性に関して考慮する必要が殆どなかったため、単に最適な資産を選定するだけで済んでいましたが、これからはポートフォリオの流動性プロファイルを考慮した運用が求められるようになります。
*オープンエンド型ファンド:満期日のないファンド
**クローズドエンド型ファンド:満期日が固定されたファンド